お客様の環境で、共有フォルダーでOfficeファイルを共有しているときに、数時間かけて修正したMS Excelファイルを上書き保存したら、変更内容が全く反映されず、元のファイルに戻ってしまった!という事件が多発しています。
原因を徹夜作業で様々な環境で検証してみたところ、ぼんやりですが、原因らしきものが見えてきました。
それは、日本時間で2017年10月18日に公開されたWindows 10の最新版バージョン1709=「Windows 10 Fall Creators Update」が原因であるようです。
ナンジャ?このヘンテコリンなファイルは?
長年MS Excel, WordなどOfficeファイルをネットフォルダー上で共有して利用している方にとってはお馴染みの”忌まわしのウンコファイル”がまたまた現れ始めました。
「Windows 10 Fall Creators Update」すなわち最新版のバージョン1709にアップデートしてしまったパソコンで共有フォルダーに置かれたExcelファイルを開いて、編集して、上書き保存すると、上の画像のブルーバックの8桁の16進数によるファイルが出来上がります。
このウンコファイルが上書き保存するたびにどんどん発生します。
おそらくこれは編集/修正した「差分」が別ファイルとして保存されてしまっているものと思われます。
このヘンテコリンなファイルを無理やりテキストエディタで開いてみると、ヘンテコリンです。
#このファイル、拡張子はついていないのですが、中身の一行目冒頭に記されている通り「.xml」による差分ファイルのようです。
時間が経過し、これらの差分ファイルが元ファイルにマージ(統合)されて、修正内容が反映されればいいのですが、そんなことはありません。
なんでこんなウンコファイルができちゃうんだろ?
恐らくですが、たぶんですが、あくまでも推測ですが、
Windows 10 1709ではセキュリティ機能が強化されています。これはこれでとてもいいことです。
これには恐らく、ファイルの改竄を防止する機能が強化されているように思われます。
これがアダとなってしまっているように思われます。
元のファイルが保護されてしまい、修正を受け付けない。
修正した部分(差分)を別ファイルとして吐き出してしまう。ウンコというか”ゲロ”というべきか。。。
古いバージョンだと大丈夫なの?
実機/仮想環境を含めて24台のWindows 10の環境で、共有フォルダーに置かれたExcelを開いて修正を施し、上書きするという検証を行ってみました。
バージョン1511(2015年11月公開):問題なし
バージョン1607(2016年8月公開):問題なし
バージョン 1703(2017年4月公開):微妙。9割型OKだが、ゲロを吐くこともある。
バージョン1709(2017年10月公開):毎回必ずゲロを吐く。*2017年10/26現在
#いつも思うのですが、マイクロソフトさんにはこの辺りの検証をキッチリと行っていただきたいものです。恐らく、当記事を見て、今回もMSの社員さんから電話がかかってくることでしょう。また、検証と回答をお願いしますね。
#バージョン1703でゲロを吐くこともあるのは、セキュリティアップデートが最新になっているからかも知れません。
1709にアップデートしちゃった場合、どうすればいいの?
WindowsというOSは長年にわたってユーザーに対して「運用でカバーする」、という事を強いてきました。
#余計な機能を無理しててんこ盛りにしてくるから、こうなっちゃうんです。
今回も運用でカバーせざるを得ません。
対策の1つとしては、「名前を付けて保存」するという方法です。いわゆる「別名で保存」というやつです。
誰かが修正したら必ず「名前を付けて保存」するようにして、ファイル名の末尾に、「02」とか「002」などの数字などを付けていくという方法です。
元ファイル名が「Windowsのアホ.xlsx」だとすると、
Aさんが修正をしたら別名で保存時に「Windowsのアホ002.xlsx」、
Bさんが修正したら「Windowsのアホ003.xlsx」
Cさんが修正したら「Windowsのアホ004.xlsx」
Dさんが修正したら「Windowsのアホ005.xlsx」
・・・という風にルールをみんなで決めて運用します。
しかし、誰かが労力をかけて修正を加えたにもかかわらず、誤って「上書き保存」してしまったら苦労は水の泡。
虚しく”ゲロ”ファイルだけが残ってしまうことになってしまうという、恐ろしい運用となってしまうのですが。。。
*あくまでも本稿執筆時点です。そのうち不具合の修正/対応が施されることになるとは思いますが、いつになるかは現時点では不明です。
いつも虚しい対症療法。。。
根本的な解決方法としてはどんなことが考えられるでしょうか?
1709からは前のバージョンには戻せない
対策の2つ目として、1709にアップデートしてしまったPCを以前のバージョンに戻したいところです。
1703までのバージョンであれば、「設定」>「更新とセキュリティ」>「回復」>「前のバージョンのWindows 10に戻す」で前のバージョンに戻すことができましたが、1709からはこの機能が亡くなってしまっています。
南無ぅ。。。
Pro版ならば1709への更新の延期を
業務などで、何人かでNASやネットワークフォルダーなどで、ファイルを共有して仕事をしている場合には、Windows 10 Homeエディションは避けた方がいいでしょう。
Windows 10のエディションとバージョンは「設定」>「システム」>「バージョン情報」で確認できます。
本来ならばEnterprise版、銀行などの”ミッションクリティカル業務”にはLTSB版がいいのですが、かなり費用がかさんでしまいます。
#それでも弊社では顧客の皆様に業務でお使いになるPCにはEnterprise版をオススメしています。
小規模オフィスで、Windows OSにまで費用をかけられない、という場合には、せめてPro版を使いたいものです。
Pro版であれば、バージョン1703の場合、「設定」>「更新とセキュリティ」>「更新プログラムの設定」の「詳細オプション」で「更新の一時停止」で更新プログラムのインストールを最大35日間停止することができます。
#この間に不具合が修正されることを期待するわけです。
さらには、「更新プログラムいつインストールするかを選択する」で「Current Branch for Business」を選択することで4ヶ月遅れで安定版の更新プログラムが配信されるようになります。
#バージョン1709では、「半期チャネル」という表現に変更となっています。
Pro版へのアップグレードはストアで可能
新たな機能を次々と盛り込みまくるHome版はあくまでも”娯楽用”と考えた方がいいでしょう。
Home版を使っている場合で今後、業務でこのような事故を防ぐためには、最低でもPro版にしておいた方が無難です。
Home版からPro版へのアップグレードする場合、13,824円かかってしまいますが、ビジネスユースの場合、Home版はPCにタダ同然でついてくるオマケ程度に考えた方がいいでしょう。
Pro版へのアップグレードは、「設定」>「更新とセキュリティ」>「ライセンス認証」から「ストアに移動」をクリック。
ストアで購入ができます。
OSをインストールし直すわけではないので、アップグレード自体は短時間で終わります。
アプリも保存しているファイル/データもそっくりそのまま残ります。
#今回は、下品な表現を使ってしまいまして申し訳ありません。
しかし、それにふさわしいほどに下品な不具合であると、個人的に思いましたので、お許しください。