2017年4月11日にWindows 10の新しいバージョン「Creators Update(RS2:バージョン1703)」が正式に公開されています。
本稿執筆時点では、ユーザーの意思で更新するか、しばらくスルーしたままにしておくか、を選べるようになっています。
現時点で特に問題がなく安定して動いているのであれば、そのまま利用し続けて、自動でのアップデートに任せておけばいいと思います。
一方で、現在、動作が不安定で、こちらの記事のように仕事に差し支える程の状態にあるならば、いっそCreators Updateにアップグレードしてしまうというのも、一つの方法。
今回は、Creators Updateへのアップグレードの詳しい手順について見ていきます。
Windows 10の大規模更新履歴
2015年7月29日に正式公開されたWindows 10(開発名略称:TH1)。
2015年11月12日には、Windows 10 November Update(TH2: バージョン1511)として、大規模アップデートが行われました。
さらに、一年後の2016年8月2日にはAnniversary Update(RS1:バージョン1607)が、さらには2017年4月11日に、Creators Update(RS2:バージョン1703)が公開されています。
初期のTH1は、長期間にわたるベータテストにより満を持して公開されたこともあってか、とても安定していたのですが、TH2を経てRS1のAnniversary Update(1607)は、ドライバーのエラーやスリープ状態からの復帰エラー、再起動時のエラーなど、機種/環境によってはトラブルが起きるようになり、毎月Windows Updateが行わる毎に、どこかでトラブルが発生している状態にあるようです。
多くの機種はCreators Updateにしても大丈夫そう?
社内のPCで仮想環境も含め25台でテストしたところ、更新作業中にトラブルが発生したのは1台だけで、それ以外は問題なく更新が行われ、更新終了後は、すべて問題なく動作しています。その後、何度か更新が入っていますが今のところはトラブルも見受けられません。
今のところ、Anniversary Update(RS1:バージョン1607)よりも、かなりいい感触なのですが、これからどうなりますことやら。
いずれにしても、現在、RS1:バージョン1607でトラブルを抱えているならば、RS2:バージョン1703にアップグレードしてシステムを一新してしまう、というのもいい”治療法”となるのではないでしょうか?
#更新作業時に、トラブルが発生したのは、SSDをシステムディスク(Cドライブ)として、古いハードディスクをデータ保存用(Dドライブ)として内蔵で搭載しているデスクトップPCです。
古いハードディスクはWindows 7機に内蔵されていたもので、Cドライブにも古いDドライブにも「ブート領域」があることで、インストール完了後の再起動時にトラブルが発生したようです。
Dドライブをいったん取り外して、更新作業をやり直すことで無事に更新が成功しました。
#複数のOSを1台で使い分ける”マルチブート”の場合も、恐らく同様のトラブルが発生するのではないかと思います。
#このように、機種/環境によっては、更新がうまく行かないこともあり得ます。あくまでも自己責任でお願いいたします。
まずはバックアップで万全に
更新作業中にトラブルが発生し、深刻な場合、システムが損傷してしまい起動不能になることも起こりえます。
万一に備えて、バックアップを日ごろから取っておく習慣をつけて、万全な体制で臨みましょう。
詳しい手順は次の記事でご紹介しています。
万一失敗してしまった時の復旧方法についても記してあります。
アップグレードの方法は大きく4つ
- Windows Update画面からリンクをたどって”更新アシスタント”をダウンロードしてアップグレード。
- Windows 10ダウンロードページから”更新アシスタント”を直接ダウンロードしてアップグレード。
- Windows 10ダウンロードページからWindows 10の”メディアクリエーションツール”をダウンロードしてアップグレード。
- Windows 10ダウンロードページからWindows 10の”メディアクリエーションツール”をダウンロードして、インストールUSB、インストールDVDディスクを作成してアップグレード。
私個人的には、一番手順が簡単な「1」でアップグレード作業を行い、今後のトラブル発生時に備えて「4」のインストールDVDとUSBを両方作成しておくのがいいかな、と思います。
#アップグレード作業を行う際は、トラブルを回避するため、USB機器などはいったん取り外して最小構成で行うことをお勧めします。
1、Windows Update画面からリンクをたどって”更新ツール”をダウンロードしてアップグレード
「設定」>「更新とセキュリティ」を開くと、「お待たせしました!・・・・」という表記があったら、「はい、方法を確認する」をクリック。
”Creators Updateの提供開始”案内ページに飛びます。
「更新アシスタント」をクリック。
Google Chromeの場合、デスクトップなど分かりやすいところにダウンロードして、ダブルクリック。
更新するならば「今すぐ更新」を、やめておく場合「今は更新しない」をクリックしてツールを終了します。
更新は自動で行われるので、他の作業を行うことができます。
プログラムのダウンロード~準備、そして更新作業となります。かなり時間がかかります。
作業が終わったら、30分後に自動で再起動が行われます。
すぐに進行するには「今すぐ再起動」をクリック。
他の作業が終わらない時には「後で再起動する」をクリックすると、30分の猶予ができます。
更新作業の第二段階は再起動後です。
第二段階の更新作業が終了したら、いつものアカウントが表示されるのでログインします。
プライバシー設定では不要なものはオフに。
音声認識の「Cortana」を使用するかしないかを選択します。
Creators Update(1703)の新機能の紹介が表示されます。
Google Chromeを標準ブラウザーとしている方は、アップグレードのたびに標準ブラウザーをEdgeに切り替えさせようとする魂胆に対して憐みの心を抱きながら「今後このメッセージを表示しない」をクリック。
「設定」>「ホーム」>「バージョン情報」で、”バージョン”が1703になっています。
2、Windows 10ダウンロードページから”更新アシスタント”を直接ダウンロードしてアップグレード
「更新アシスタント」は、Windows Update画面以外にも、ホームページから直接入手できます。
Windows 10 ダウンロードページへジャンプ
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
「今すぐアップデート」をクリックします。
”更新アシスタント”がダウンロードされます。上記「1」と同じ手順でアップグレードが行えます。
古いバージョンからのアップグレードも可能
パソコンのWindows 10のバージョンは、「設定」>「システム」>「バージョン情報」で確認ができます。
「2」の方法であれば、Windows 10 November Update(TH2: バージョン1511)からCreators Update(RS2:バージョン1703)へ”飛び級”でアップグレードができます。
3、Windows 10ダウンロードページからWindows 10の”メディアクリエーションツール”をダウンロードしてアップグレード。
#この方法は、Windows 10のOSを丸ごとダウンロードするのでかなり時間がかかります。しかし、いったんパソコン内にWindowsのインストール環境をいったん全て保管してから作業を行うので、通信エラーなどによる更新作業中のトラブルを回避できる点で、より確実な方法となるでしょう。
Windows 10 ダウンロードページで、中ほどにある「ツールを今すぐダウンロードをクリックします。
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
「MediaCreationTool.exe」がダウンロードされたら起動させます。
準備にしばらく時間がかかります。
ライセンス条項に「同意する(A)」をクリック。
「このPCを今すぐアップグレードする」を選んで「次へ(N)」をクリック。
#この方法の場合、Windows 10全体がダウンロードされるので時間がかかります。
”検証作業”に続いて、”メディア作成”作業。かなり時間がかかりますが、その間、動画を見たり、他の作業を行うことも可能です。
更新プログラムのチェック、PCのチェックが行われます。
ライセンスに「同意する(A)」をクリック。
あとは画面の案内に従い、再起動が自動で行われた後、更新作業の第二段階が終了し、ログイン後、上記「1」と同じ手順で完了です。
4、Windows 10の”メディアクリエーションツール”をダウンロードして、インストールUSB、インストールDVDディスクを作成してアップグレード
上記「3」と同様の手順の中で、「実行する操作を選んでください」画面で、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択し、画面の案内に従えば、USBフラッシュドライブ、DVDディスクを作成したり、ISOファイルだけをダウンロードして保管しておくことができます。
これらのメディアを用いれば、既存のソフトウェア、ファイルは残して、OSだけ上書きさせることができますし、まっさらな状態で新規にインストール(クリーンインストール)することも可能です。
#クリーンインストールを行う場合、アプリケーションやファイル/データがすべて消えてしまいますので、事前のバックアップが必要です。またアプリによってはライセンスキーの入力、ライセンス認証手続きが必要な場合もあるので十分に注意が必要です。
#USBメモリー、DVDディスクでインストールメディアを作成する場合、「言語、アーキテクチャ、エディションの選択」画面で、「アーキテクチャ」を「両方」を選択しておけば、32bit版/64bit版両方のアップグレード作業に用いることができます。
アップグレード・トラブルへの対応
残念ながらアップグレードに失敗してしまうことは、どうしても起こりえます。
最新のパーツが搭載されていて、”ドライバー・ソフトウェア”がまだ対応していない、などの場合はトラブルが発生することが多いです。
上記のように、”マニアックな環境”で、アップグレードツールが想定外の構成だと、失敗してしまう場合もあります。
失敗した場合、”エラーコード”が表示されます。
上の画面では”0xC1900101 – 0x40017”です。
このコードを控えておくと、解決のヒントになります。
アップグレードに失敗してしまった場合、以下のページがヒントになることでしょう。
このように失敗が起きてしまった場合、自動的に以前の状態に復元されます。
#失敗してしまう原因の多くは「デバイスドライバー」が対応していない事にあるようです。
最後に
繰り返しになりますが、今の環境が問題なく安定して動作しているならば、少しでもリスクを回避するために、自ら進んでアップグレードをするのは避けた方がいいでしょう。
現時点でPCの調子が悪く、業務に差し支えてしまう程の状況にある時には、今回ご紹介したWindowsを上書きインストールする方法で改善が見込めるかもしれません。