高価なグラフィックス・ボードは、高精細な3Dグラフィックスをふんだんに使ったゲームやCAD、解析シミュレーションなどで快適に用いることができるようにするために用いられます。
Intel社の現行のCPUである”Core i”シリーズはグラフィックコントローラ(HD Graphics)を内蔵しており、一般的な事務作業であれば別途グラフィックス・ボードを増設する必要はないと言っていいでしょう。
しかし、古いPCの場合はどうでしょうか?
今回は6年前のPCにグラフィックス・カードを増設してみて性能の向上が見られるかどうか、確認してみたいと思います。
テスト環境
現在、第8世代となっているCore i CPUですが、2012年に第3世代のCore i5-3570を搭載して発売されたDell OptiPlex 7010デスクトップPCでテストしてみました。スペックは次の通りです。
- CPU : Intel Core i5 3470 (3.3GHz)
- RAM : DDR3 16GB
- メインストレージ:SSD 480GB
- データ保管用ストレージ:HDD 4TB
- OS : Windows 10 Professional 64bit
グラフィックスの比較
次の通り、内蔵と増設の2つのグラフィックス環境でテストしてみました。
- CPU内臓グラフィックス Intel HD Graphics 2500、ディスプレイ・ポート接続
- MSI VD6348グラフィックスボード:NVIDIA GeForce GT 1030、2GB GDDR5 64bitメモリ搭載、ディスプレイ・ポート接続
体感的には
Webブラウザーでのページ、動画参照、Officeアプリでの文書作成など一般的な事務作業においては、両者の違いは感じられません。
しかし、Adobe Photoshopで高精細な写真を編集したり、Corel VideoStudioで動画の編集を行うと、その差は大きく、性能が大幅に向上することが体感できました。
仕事でパソコンを使う中で、画像や動画などのメディア編集を伴う際には、古いPCの場合にはグラフィックス・ボードを増設することで作業効率の向上が図れそうです。
あくまでも目安となりますが、具体的に数値としてベンチマーク・テストで検証してみました。
PCMark 8でベンチマーク
前回の記事の中でも用いたベンチマーク・テストであるPCMark 8を用いてみます。
今回は「Creative」を試してみます。
「Creative」ベンチマーク・テストでは、Web表示/操作、ビデオ再生、音楽再生、動画編集、3Dグラフィックスのリアルタイム生成/表示(ゲーム画面)、映像によるグループチャット、写真画像編集などにより構成されています。
内蔵/増設グラフィックス テスト結果比較
まずは、Intel Core i5 3470に内蔵のIntel HD Graphics 2500でディスプレイ・ポートから出力したテスト結果です。
次に、NVIDIA GeForce GT 1030搭載のグラフィックス・ボードを増設し、ディスプレイ・ポートから出力したテスト結果です。
2855 : 4406と、全体的には、約1.5倍の性能向上という結果となりました。
上述の体感的な性能差を裏付けるように、Webの表示/操作については数値は変わりませんが、動画、画像編集、3Dグラフィックスの表示テストの数値は、大きく差が出る結果となっています。
今回は、コンパクトな筐体でも収まる”ロープロファイル”対応で、追加電源も不要であること、さらにはコストパフォーマンスを考慮して、GeForceの1000番台のグラフィックス・ボードの中でも、エントリークラスとなる GT 1030搭載のグラフィックス・ボードで試してみました。
古いパソコンで動画や画像の編集を行いたい場合、グラフィックス・ボードを増設することで性能向上を図ることができそうです。